ルルーシュが七年間の留学先からブリタニア本国へ帰って来ました。
何故か日本国現総理大臣、枢木ゲンブの嫡子、枢木スザクを引っ掛けて。
「失礼ですが、あなたはルルーシュとどのような関係なのです?枢木スザク」
桃色の髪を揺らし、開口一番、ユーフェミア・リ・ブリタニアは初対面の彼にそう問いかけた。
「…えっ、と……?」
「ユーフェミア!お前、何でここに…っ」
戸惑うのはスザクで、狼狽えるのはルルーシュ。因みに、ここ、とは、ルルーシュの所謂“実家”であって。血を分けた姉弟とはいえ、早々と上がり込むような場所ではない。
が、ユーフェミアは一切ルルーシュのことなど取り合わず、びしりと言った。
「ルルーシュはお黙りなさい。わたくしは今、彼に質問をしているのです。わたくしには姉として、あなたの交友関係を把握する義務があるのですから!」
むん、と意気込むユーフェミアに対し、「何が姉だ!」とルルーシュは非難の声を上げたが、無論のこと何の効力もない。
一方で、突如として皇女に問い詰められたスザクは、きょとんとしながらも何か思いあたることがあったのか。「……ああ!」と声を上げて、姉弟の間に割り入った。
「あなたですか、ルルーシュがよく話していた方は」
その言葉に、ユーフェミアは「…はい?」と首を傾げる。
「なっ、ばっ、止せスザクっ!」
焦るルルーシュも何のその。
ニコニコするスザクに、ユーフェミアは興味を隠せず。何のことですか?と聞けば、背後からは弟が制止させようとする声。……を、無視して、スザクは実に楽しそうに口を開いた。
「ルルーシュからよく聞いていたんです。数少なく、ナナリーと自分に優しくしてくれる姉上がいると。ひとりはナイトメアにもご自分で乗られる勇ましい方で、もうひとりは、動物と話せるきみょ………不思議な方だけど、よく面倒を見てくれる優しい人だと」
あなたは動物と話せるのですか?と(間、何やら失礼な単語が入ったようにも聞こえたが、それはルルーシュの言であって彼の言葉ではないのだろう)問いかけてくるスザクに、ユーフェミアは普段から大きな目をより大きくして、驚きを隠さなかった。
因みに背後のルルーシュは、頭を抱えて蹲っている。
「……あら、あらあらあら?ルルーシュ、わたくしはとても嬉しいです」
「………いいから、放って置いてくれ!」
「スザクさん、先ほどは失礼しました。無礼な振る舞い、お許し下さい」
「とっ、とんでもありませんっ!あっ、頭を上げて下さい!!」
丁寧にお辞儀をするユーフェミアに、スザクは戸惑いの意を露わにする。(なんたって相手は皇女殿下だ!)
ユーフェミアは先ほどとは打って変わって、彼女特有の人懐っこい笑みを浮かべていた。
「スザクさん、これからもルルーシュと仲良くしてあげて下さいね。ちょっと恥ずかしがり屋で、素直じゃないところもあるけれど、本当はとても良い子なんです」
「……ええ、よく知っています」
「………おい、」
スザクの答えに満足したのか、ユーフェミアは「あら」ともう一度口にして、ふふっと笑った。
「スザクさん、ご一緒にお茶でも如何でしょうか。お姉様もご紹介したいですし、是非」
「いいんですか?僕なんかが……」
「……おい、ちょっと待て」
「勿論です!それでルルーシュの日本でのお話を聞かせてもらえないですか?ルルーシュってばナナリーの話ばかりで‥、あ、勿論、ナナリーが元気でやっている様子を聞くのは嬉しかったのですが、自分のことは一切教えてくれないんですもの。せっかくですから、ルルーシュが日本でどう過ごしていたのか、教えて下さいませんか?」
「待てと言ってるだろうが!!」
「そういう事なら、喜んで」
にっこり、にこにこと穏やかに。決して威圧感はないというのに、この問答無用な雰囲気は何だ。先程からちっとも抗議の声から聞き入れて貰えないルルーシュは思う。しかも漸く振り返ってくれたかと思えば。
「何をしているのですか?ルルーシュも早くいらっしゃいな」
「ほら、ルルーシュ。せっかくのお誘いなんだし、ね?」
……と、何も嬉しくない誘い。しかも二人の間は、当の本人を無視して「それでルルーシュは…」「ええ、ルルーシュが…」といった会話で盛り上がるばかりだ。
取り残されたルルーシュは、これからの暗澹たる先行きをひしひしと実感する羽目になった。
※ユフィの年齢がまだ不明の時に書いた為、ユフィが同年の姉設定になってます。あしからず。
2006.11.30