「ふぅ…ッ、ん‥!」
閉じる唇を下で割り、口内に侵入する。歯列をじっとりと舐め、相手の舌を絡め取る。
湯の中、姿勢が覚束ないルルーシュは震える腕で壁に背を預け、脇の下を支えるスザクの手を頼りにどうにかバランスを取る。いつの間にかバスタブの角に追い遣られ、中途半端な体勢。腰の辺りを上下する湯による温度差が擽ったくて座り心地は大変悪い。
スザクは這うような仕草でルルーシュの肌をまさぐった。
途中の突起を指で弾き、捏ねれば、ルルーシュの身体がびくん!と跳ねる。同時にルルーシュは僅かに離れた唇で大きく息を吸いながらも、甘い声が浴室に反響する。
身体がどうしようもないくらいに火照っている。その羞恥に顔を真っ赤にしたルルーシュは、口付けの合間にスザクを見下ろし睨み、「スザッ」と抗議の声を上げた。が、スザクは自分の名前が呼び終わる前に、ルルーシュの唇をぺろりと舐めた。
それは先程のルルーシュと全く同じ仕草だった。
「ッ‥!!」
「煽ったの、ルルーシュだからね。最初から、ぜんぶ」
自分は必至で抑えようとしたのに、それを決壊させたのはルルーシュだ。――意識、しているか否かはこの場合、どうでもいい。
だから、と見上げるスザクに、ルルーシュは怒ったような困惑したような、それでいてどこか先を期待しているかのようにも見える視線。つまり、劣情を煽るしかないそれ。
(ッ―――だからっ、そういうカオが…ッ!)
全く以て、表情ひとつでどれだけ自分が踊らされるだなんて、これっぽっちもわかっていないのだろう、とスザクはルルーシュを見て思う。
下半身に熱が一気に集中するのを自覚して、情けないやら何やら。
「もう…っ、どうなっても知らないからな…ッ!」
ルルーシュ本人には全く覚えがなかろうと、知ったこっちゃない、と。
余裕があるように見えていたスザクが突然性急な動きをしたことに、ルルーシュは驚き身を強張らせ――湯の中に浸っていたソレを掴まれて、腰が抜けた。
「ひぅッ?!んッ…ス、‥ザッ」
咽が引き攣る。歯がガタガタと震える。
スザクの肩に手と頭を乗せ、やめろと制止しようにも力が出ずにそれもままならない。爪を立ててみたところで何の反応もなく、まるで痛みがないようなスザクに対し、よりルルーシュの力はそこに集中してしまう。無論、スザクとて痛みを感じないわけではなかったが、彼の意識は全く別の所にあった。
スザクは片手でルルーシュのモノを愛撫し、空いた手ひとつは必死でバランスを取っているルルーシュの身体を支える助けとする。宥めようと撫でてみたが、逆効果のようにルルーシュは反応し、スザクの肩に縋る力は益々強まる。
ルルーシュの片足は浴槽に乗っかり、ほぼ跨ぐような姿勢。
「やぁ、‥め…ッ!ふぅ、ン――ッ!!」
やめろ、とは続かない。意味もない言葉は響いては消え、それも次第に息遣いと同化してはただの艶めかしい声にしかならなかった。狭い室内では水音と嬌声が反響するばかりだ。
限界も近付けば、抑制なんてものは綺麗さっぱり消え去る。我慢ならずになったルルーシュはスザクにキスを強請り、スザクは何度も何度もルルーシュに口付けた。
その内にルルーシュの昂ぶった熱は外へ放たれ、もう自分で自分の身体を支えるだけの力も残っていないルルーシュはだらりとスザクに身体を差し出す。
浴槽から抱き上げたルルーシュの身体をそのまま反転させ、スザクは欲情に促されるまま指を這わした。
また震え始めたルルーシュの身体を宥めながら、スザクは指を増やしその内部を解す。いやいやと首を振るルルーシュに、口付け。背中を撫で、また口付け。名前を呼んで、また口付け。
とろとろと溶けていく気持ちの良さに、ずっと口付けていたいと酩酊感。けれどそれ以上に、ルルーシュの中に入りたいと陶酔。だって触れてるだけよりも繋がってしまえた方がもっと気持ちよい。それを知ってるから、スザクはルルーシュに口付けながらも、手を止めない。
「ル、ルーシュ…、」
呼べば、ルルーシュはスザクの名前を呼ぶ。
くらりと脳髄を直撃するかのような甘さと鋭さに身を任せ、その衝動のままに行為にのめり込む。どちらとも知れず、相手を求め貪り食らい尽くした。
* *
「……………情けなくて死にそうだ」
「まあ、そんなこと言わずに…」
「誰の所為だと思ってんだ」
「僕の所為ですスミマセン」
闇も深い夜半。
触り心地抜群のベッドに沈み込んでいるのはルルーシュひとり。腰が立たないのだから、仕方がない。曰く、女装させられた上にスザクに散々いいようにされたと嘆く姿を宥めながら。
何も自分一人の所為じゃないのに、とスザクは思わずぽろりと出てしまいそうな呟きも、ここは我慢。でないと、暫く触らせてもらえないどころか、口をきいてくれなくなるかもしれない。こういうところは頑固というか意固地なルルーシュだということを、スザクはよくよく知っている。
―――が。
どうしても言いたいこと。というよりも、訊きたいことは、矢張り我慢なんてできないもので。
「…ねぇ、ルルーシュ」
何だ、と返事は実に気怠そう。
「もう一度、今度は僕の為にあの恰好「するわけないだろう!!」」
見事に継がれた科白と共に、枕を顔面にお見舞いされた。
痛い…、と落ち込むスザクを見もせずにルルーシュは「二度とあんな恰好するもんか」と言い捨てて、不貞寝を決行。
―――しかしこの時、ルルーシュはスザクの野望をまたひとつ増やしてしまったなんて知る由もなく。
取り残されたスザクはと言えば、再びルルーシュにドレスを着せる為の算段を脳裏に浮かべるのであった。
リクエスト内容、スザ騎士ルル皇女の甘いR-18ぐらいのお話。
→ルル女装で生ぬるエロ。ノルマ達成はスザク騎士(のつもり)のみ。
ごめんなさい(スライディング土下座)
リクエスト企画より / 2007.06.10